日本遺産体験 周遊ツーリズム事業 昇仙峡STORY

日本財団

日本遺産 御嶽昇仙峡とは

山梨県に位置する昇仙峡は、国内外から多くの観光客が訪れる日本有数の景勝地です。この美しい渓谷は、豊かな自然と長い歴史に彩られた魅力を持ち、訪れる人々に深い感動を与えます。

昇仙峡一帯の山地は、水の塊と信じられていた水晶を産出する水源信仰の地であり、地域を流れる荒川上流を訪ねると、悠久の時をかけた浸食により形成された大小の滝や巨石、奇岩に驚かされます。
水が作った芸術品ともいえるこの渓谷美は、江戸時代末期に行われた新道開削により奇跡的に出現したものですが、地域の人々の熱意により日本有数の景勝地として磨きあげられてきました。

そして、昇仙峡一帯で産出された豊富な水晶とその加工技術は、匠の技として日本一のジュエリー産業の基盤となり、更には人工水晶製造技術へと繋がってスマートフォンなどの電子機器に使用されるなど、過去から現代に至る私たちの生活を支えているのです。

御嶽昇仙峡について

【日本有数の水晶産地】
水晶は、花崗岩とともに産出されることが多い鉱物ですが、綺麗な六角形で長い結晶は、特定条件(摂氏573度以下の熱水中)でないと形成されないため、日本における水晶の産出地はそれほど多くありません。金峰山周辺の花崗岩を主とする地質には、黒平地区など、優れた結晶が産出される水晶鉱床がいくつもありました。

日本有数の水晶産地

【御嶽新道と特別名勝の指定】
修験道場になるほどの険しい山道しかなかったこの渓谷の地を昇仙峡の奥地の集落に暮らす長田円右衛門が、親族や多くの協力者とともに9年の歳月をかけて、荒川沿いに新たな道(御嶽新道)を切り拓き甲府城下と奥地の村を結びました。大正12年には国名勝、昭和28年には特別名勝の指定を受け、麓に湧く湯村温泉とともに山梨県有数の観光地として発展し、今も地域の人を中心に景観維持活動が行われるなど、地域の宝として大切に維持されています。

御嶽新道と特別名勝の指定

【多くの信仰を集めた金櫻神社と御嶽古道】
金峰山は富士山と並ぶ信仰の山であり、その里宮として鎌倉時代に建立された金櫻神社は、現在も多くの参拝客で賑わいます。桃山時代には、甲斐武田氏の祈願所としても崇拝され、武田勝頼が奉納した能面八面、住吉蒔絵手箱、家紋散蒔絵手箱などが現在も大切に保存されています。また、甲斐市には、当時の参詣道の入口に建てられていた鎌倉時代の石鳥居が発掘・復元されています。この地に残る石造物群や修験道場として開基された旧羅漢寺の遺構、また、現在の羅漢寺に移されている木造五百羅漢像などに、往時の山岳信仰の様子を感じ取ることができます。

多くの信仰を集めた金櫻神社と御嶽古道

【文学・絵画における昇仙峡】
昇仙峡は、水晶とともに多くの人の心を引き寄せ、明治から昭和初期にかけて多くの歌人が訪れていますが、特に与謝野晶子は数多くの短歌を詠んでいます。また絵画でも、浮世絵画家の歌川広重が甲府に逗留した際、昇仙峡の御嶽古道(外道)を訪れスケッチを残しているほか、竹村三陽が新道開削当時の昇仙峡の様子を描いた仙嶽闢路図や、南宋画の三枝雲岱の御嶽新道図などが知られています。

文学・絵画における昇仙峡

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